2006年09月24日

最近まで残っていた海防艦

海防艦とは軍艦の一種で、近海・沿岸の防備、領海警備、漁業警備、船団の護衛など主要な任務とする艦のことです。帝国海軍における海防艦は2種類あります。一つ目は明治時代に建造された旧式艦(巡洋艦や戦艦など)を海防艦に種別変更したもの。二つ目は昭和12年以降に建造された漁業保護や船団護衛を目的とした小型艦。通常、海防艦と言うと、後者の方を指します。

ところで、帝国海軍の海防艦がつい最近まで残っていたことをご存知でしょうか? その海防艦の名は「志賀」。昭和19年(1944年)から昭和20年(1945年)にかけて20隻建造された鵜来級海防艦の1艦です。

鵜来級海防艦要目
基準排水量:940トン
全長:78.8メートル
全幅:9.1メートル
喫水:3.0メートル
エンジン:22号10型ディーゼルエンジン2基2軸
馬力:4,000馬力
速力:19.5ノット
航続距離:16ノットで5,000海里
兵装:45口径12センチ高角砲 連装1基・単装1基、25mm三連装機銃2基、九四式爆雷投射機2基、三式爆雷投射機16基、爆雷投下軌条2基、爆雷120個など。
海防艦志賀は太平洋戦争末期の昭和20年(1945年)3月20日に竣工しました。そして呉防備戦隊に編入され、4月6日の戦艦大和沖縄出撃時、豊後水道南部で敵潜水艦を捕捉し、爆雷投射でこれを撃沈すると言う戦果を上げております。そして同年5月始めに舞鶴で改装され、対馬海峡の対潜哨戒・機雷処理に従事しているた7月31日、壱岐半城浦において来襲した敵戦闘機P51を2機撃墜するという戦果を上げております。海防艦志賀はなかなかの武勲艦だったと言えます。海防艦志賀はその後も哨戒任務に従事し、敗戦を迎えました。

敗戦後の海防艦志賀は、数奇な運命を辿ることになります。昭和21年(1946年)から昭和24年(1949年)まで米軍連絡船として利用され、博多・釜山間を就航しました。その後昭和25年(1950年)から昭和28年(1953年)までは中央気象台定点観測船「志賀丸」として就航。昭和29年(1954年)1月からは海上保安庁の練習艦「こじま」として、海外在留邦人の引き上げ輸送等に従事しました。そして昭和40年(1965年)4月、とうとう廃役となったのです。

さて、海防艦志賀はこうして20年に渡る船舶としての生命を終えたのですが、今度は何と公民館として利用されることになりました。海防艦志賀(練習艦こじま)は昭和40年(1965年)8月に千葉市に払い下げられ、昭和41年(1966年)8月18日に「海洋公民館」として生まれ変わったのです。海洋公民館となった海防艦志賀(練習艦こじま)は、当初岸壁に係留された状態で公開されていたのですが、後に船体の周囲は埋め立てられ、団地の中の公民館施設として利用されました。

こうして静かな余生を送ってきた海防艦志賀(練習艦こじま)ですが、今度は一転、解体の危機を迎えます。海防艦志賀(練習艦こじま)は老朽化の為、既に海洋公民館としての利用を終了していたのですが、地域開発の一環として、解体されることとなったのです。しかし残存する唯一の旧海軍戦闘艦艇の経歴を持つことから保存運動が持ち上がったそうですが、結局保存されること無く、平成10年(1998年)に解体されてしまいました。

なお、海防艦志賀(練習艦こじま)の艦橋内の機器の一部が千葉県の稲毛記念館に艦橋を模して展示されているほか、艦首部分は、栃木県の那須戦争博物館に展示されているそうです。

海防艦志賀
http://www.ne.jp/asahi/mili/surva/ivent/koz/kozbun.html

海とKISSと太陽と 鵜来(改乙)型
http://www.down.ne.jp/ish/ijn/axhist/ukuru.html

海防艦「志賀」保存問題
http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/Study/Study077.html

「こじま」解体開始
http://www2.famille.ne.jp/~kurimata/hozon4.html

とんぺいの機械博物館 那須戦争博物館(那須高原)
http://homepage3.nifty.com/tompei/WarMuseumNasu.htm

あれそれこれ博覧会 戦争博物館 栃木/那須
http://www.asahi-net.or.jp/~ku3n-kym/heiki2/nasu/nasu.html

あれそれこれ博覧会 稲毛記念館 千葉市
http://www.asahi-net.or.jp/~ku3n-kym/heiki/kojima/siga.html

稲毛記念館
http://www.cga.or.jp/004013/

<公爵の独り言>
最近まで残っていた貴重な戦前の船舶を、大した理由も無く一地方自治体の決定で解体してしまうことに理不尽さを感じます。

posted by 公爵 at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 艦船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。